美しさのまとい方 エストロゲンと性格

【脳機能に深く関わるエストロゲン】

エストロゲンに反応する脳の部位は、意欲、意志、ストレスへの対応、記憶、感情などに関係する機能を司っている。エストロゲンはさらに、認知機能、痛みの感覚、体温調節、睡眠などさまざまな脳機能と関連している。

エストロゲンは短期的な記憶に関係しているといわれる。例えば、月経時にはエストゲンが最も低い。排卵後比較的エストロゲン値が高いときと、エストゲンが最低となる月経時の記憶を比較すると、月経期のほうが記憶力は減弱する。

また神経保護作用があり、酸素不足や薬物による脳の神経細胞の障害はエストロゲンが存在すると軽減される。さらにエストロゲンは、障害された神経細胞の新生にも関わっており、それが作用していると脳卒中後の回復が良好になる。


【脳内でも産生されるエストロゲン】

エストロゲンは生殖機能を統括しているホルモンであるが、生殖機能に関わるエストロゲンは主に卵巣で作られる。卵巣由来のエストロゲンは、主に生体の植物性機能といわれる生殖、内分泌系、循環器系、消化器系などのように個体や種の維持に必要な基本的な生理機能を調節している。しかしヒトをはじめとする動物では、植物にはない感情、本能、行動、意欲といった脳神経系が統御する動物性機能がある。これらには神経発達や性分化以外に性行動、摂食行動、攻撃性、闘争心、向上心、記憶力、コミュニケーション能力、言語力、識学能力など、私たちにとって基本的な属性、適性、能力などに深く関わっており、重要な役割を果たしている。しかも、脳内のエストロゲンの産生、分解の調節は卵巣由来のエストロゲンとは独立して行われている。


【性格に影響をもたらすエストロゲン】

エストロゲンは女性らしさに関係して、しとやかさ、控えめなどを連想する。男性ホルモンは男らしさに関係して、攻撃性、闘争心、競合性などとみなされている。

女性は男性の1/10以下程度であるが、テストステロン(男性ホルモンの一種)は存在している。テストステロンが高めの女性は、やや筋肉質の体型であり、性格は自立心が強く、行動的で処世術に長けている。他方、テストステロンが低めの女性は、運動競技などのように他との競争を強いられる状況下では競争心があまり旺盛ではない。女性における攻撃性とは必ずしも短気、怒りやすいというような正常な状態を逸脱したものではなく、自己の権利を正当に主張する、積極的に社会に関わっていく、自らの意志で行動するというようなニュアンスも含むものと考えられる。

このことから、女性が成熟して社会人として自立し、妊娠や育児を遂行できるような自己主張や自己防衛という意味での攻撃性の獲得に必要なのである。


【職業を左右する女性のテストステロン】

テストステロンが高めの女性は競合性、自立性、意志強固などの性格傾向を有することを述べた。女性を対象として唾液中のテストステロン濃度を測定し、それと女性の社会的立場との関連を検討した研究がある。それによると、テストステロン値が高いほど大学教員、銀行員、医師、技術者などの専門職についている割合が高いという結果であった。一方、テストステロンが低めの女性は、自身の性格を温和で優しく、しかも、感性が豊かで感受性が高いなどと述べている。この結果から、テストステロンが高めの女性も低めの女性も、自身の適性を考えて自律的に各自の人生や職業を選択しているといえる。


【利き腕と関わる胎児期の脳へのエストロゲン】

左利きの人は男女とも10%前後である。若干男性のほうが左利の割合が多い。最近の研究によると、胎内の性ステロイドホルモンの環境が利き腕と関係しているようだ。母親が妊娠中に強力な合成エストロゲン錠剤を服用していた女児では17.5%が左利きであり、通常の2倍近くになる。この場合、妊娠9週未満にホルモン錠剤を投与されることが左利きを誘導するようだ。また、左利きの赤ちゃんは臍帯血のテストステロン値が低いという報告がある。

このように、エストロゲンとテストステロンとの比率が女性の利き腕と関係するといわれるいる。具体的には、女性にいておいてはエストロゲンが優位だと左利きに、テストステロンの作用が若干高まると右利きに傾く。胎児期にエストロゲンが優位か、テストステロンが優位かにより、脳の構造が影響されることから、胎児期の性ステロイドが利き腕と関係するということはそれほど不思議なことではない。

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