美しさのまとい方 頭痛
【頭痛の分類】
頭痛は一次性頭痛、二次性頭痛(薬物乱用頭痛を含む)と頭部神経痛・顔面痛に大別される。
一次性頭痛は、おおむね6カ月以上同様のパターンが続く慢性の経過をとる頭痛で、機能性頭痛ともいわれる。二次性頭痛は、血管障害・外傷・感染症など器質疾患を有するもので症候性頭痛ともいわれる。原因はさまざまで、内科的疾患から外科的治療を必要とするものまである。
この項では、女性に多く見られる一次性頭痛のなかの片頭痛・緊張型頭痛について述べる。
【片頭痛と性差】
日本における年間有病率は8.4%で、前兆のある片頭痛2.6%、前兆のない片頭痛は5.8%である。また、女性の片頭痛の有病率は男性の3.6倍であり、特に片頭痛の有病率は20~40歳代の女性で高く、月経に関連して頭痛が起こる人も多く、女性ホルモンの関与が考えられている。
片頭痛の随伴症状の頻度についても男女差がみられ、悪心・嘔吐、光・音過敏、肩・頸部のこりや痛みは女性が男性に比べて有意に多かった。
誘発因子としての、肩・頸部のこりや痛み、睡眠不足・睡眠過多、人混み、天候の変化、ストレスからの解放などは女性に多く、目の疲れ、アルコールなどは男性に多かった。
さらに、女性は男性よりも実験的痛み刺激に対してより強い痛みを訴えることや、機械的に誘発した痛みに対してより高度の時間的加重を示すという報告もあり、女性は痛みの感受性が高いこと、中枢性感作が起こりやすいことが示唆される。
このため、女性のほうが、肩こりや頸部のこり・痛み、睡眠、月経などの内的環境、人混みや天候の変化などの外的要因の影響を受けやすく、片頭痛の発生頻度の増加につながっている可能性がある。
【病態と診断】
従来、片頭痛の病態は前兆時に血管が収縮して、その後血管が拡張して頭痛が起こるという血管説が広く信じられてきたが、その後、大脳資質の神経細胞の過剰興奮による神経説、三叉神経と頭蓋内血管との関係性に注目した三叉神経血管説なども提唱され、いまだ明らかではない。
月経時片頭痛
成人女性片頭痛患者の約半数では、発症が月経前から月経中に起こるとされている。これはエストロゲン血中濃度が急激に低下する時期と一致しており、女性ホルモンの影響により片頭痛が誘発されると考えられる。
月経関連片頭痛の大半は前兆のない片頭痛であり、他の時期に起こる発作に比べて、重症度が高く、また持続時間も長いことが多く、急性期治療薬や予防薬の効果が少ないとされている。
妊娠・授乳期の片頭痛
前兆のない片頭痛は妊娠第2期、第3期に改善することが多い。これは妊娠中の血中エストラジオール、プロゲステロン濃度の増加と関連している可能性が高い。一方、前兆のある片頭痛は妊娠中でも改善率は低い。また、出産後には再発する傾向がある。出産後1カ月以内の再発率は55.3%であるが、母乳を与えている女性のほうが再発率は低いとされている。
更年期の片頭痛
45歳以上の古典的片頭痛は心血管イベント発生の独立した危険因子であるとの報告も認められ、頭痛を予防することは生命予後にも関わるかもしれない。このような頭痛は、生活習慣の改善も重要である。
【緊張型頭痛と性差】
成人における緊張型頭痛の有病率は42%であった。男女比は4:5とやや女性に多く、特に月に14回を超える慢性緊張型頭痛は女性で有病率が高い。
また、難治な緊張型頭痛を訴える女性が増えてきている。女性は首が細く、肩こりになりやすい体型に加え、パソコンを使うデスクワークの時間が非常に多く、運動不足や社会的ストレスにさらされていることも原因と考えられる。
【病態と診断】
正確な病態については不明な点もあるが、末梢性の疼痛メカニズムとしては、頭頚部組織の疼痛、筋の緊張亢進、圧痛と関連がある。また、中枢性のメカニズムとしては疼痛閾値の低下や通常の痛覚入力の中枢での増幅が主として考えられる。
症状の特徴としては、両側性で非振動性であり、頭部全体の締めつけられるような痛み、頭重感、圧迫感で、肩こり、頸部痛を伴うことも多い。
緊張型頭痛はその発症と経過に心理社会的な因子の関与があるとされている。すなわち、頭痛発症の前にストレスイベントがあったり、頭痛の強さと慢性的なストレス因子との間には関連があると考えられている。
次回続きあります。
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