美しさのまとい方 月経の周期と量

女性は男の人と会う回数に応じ、月経の周期が異なる。具体的に述べると、男性に会わない女性では月経周期が二十八日より長くなるが、会う回数が多いと月経周期がほぼ二十八日となる。


【周期の異常】

月経周期が明らかに延長し、しかも不規則に見られる状態を希発月経と呼ぶ。日本産科婦人科学会では月経周期が三十九日以上で三ヵ月以内のものを希発月経と規定している。

希発月経では排卵を伴う場合と、伴わない場合がある。一人の女性でも各月経ごとに排卵があったりなかったりする。

逆に月経周期が短縮するものを頻発月経という。日本産科婦人科学会では二十四日以内の月経周期を頻発月経と定義している。頻発月経では排卵を伴わないことが多い。


【影響する諸要因】

月経周期は各人の内的状況以外に、気候や外的環境により影響を受けることがある。

日本では夏の猛暑で排卵機能が抑制され、夏場は月経周期が乱れることもある。また、集団で生活する女性の間、あるいは母と娘たちの間では月経が同期するという話が伝わっている。同居することで生活のパターンや食事なども似かよったものとなり、このような因子の介入も考えられる。野生のサルなどでは月の光によって月経周期が似かよってくるという説がある。しかし、ヒトにおいては明暗の環境の共有が月経の周期の誘因であるとは考えにくい。


アルコール依存性の強い女性では月経周期が長引いたり、短縮したりする傾向があり、しかも排卵が障害されやすい状態にある。一部では無月経となることや閉経が早まることもある。この理由として栄養状態が不良となることや、肝臓の機能低下が挙げられる。

喫煙に関しては、月経周期が短縮傾向にある。このため排卵が障害され、自然妊娠の確率が低下する可能性もある。なお、喫煙の影響は一日十本以上の喫煙で認められる。


月経周期の変動が少ない女性ほど、排卵機能が良好であり、自然の状態での妊娠の確立が高まる。さらに月経周期が規則的な女性における流産率は、周期が変動する女性に比べ低いといわれている。このような事実から一般的な話ではあるが、月経周期が規則的な場合には排卵する卵の質が高いといえる。


【周期と病気】

月経周期は生殖能力のみならず、いろいろな病気のリスクと関係する。心身の状態に影響を受けることによりさまざまな全身疾患、内分泌疾患、あるいは精神疾患で月経周期が乱れることがある。

月経周期が不規則で長いことが、子宮体がんの発症リスクを高めることになる。特に年間の月経の回数が四~五回以下の場合には若くして子宮体がんになりやすい。この場合には治療により予防できる。

肥満により月経周期が延長することが多い。この場合には肥満のため乳がん、糖尿病、心血管系の病気などのリスクが高まる。


月経周期は精神系の病気との関連も指摘される。摂食行動の異常(極度の食欲低下、過食)などが原因で月経周期が延長することや、月経が来なくなることはよく知られている。

月経周期が短めの女性(二十八日型以下)ではうつや躁うつ病などの気分障害にかかりやすいという報告もある。女性における情動や精神疾患のリスクは卵巣由来の性ホルモンの影響を受ける。そのため月経周期との関連することは理論的にもありうる。


【長い、短いの基準】

日本産科婦人科学会の規定では、月経時の出血が持続する期間として三~七日間を正常としている。もっとも多く見られるのは四~五日間である。八日を超えたら直ちに異常というわけではないが、月経が長引く女性では二週間ほど持続することもあり、年間の半分近く出血があるということは大変煩わしいことである。月経が八日以上持続するものを過長月経と呼ぶ。他方、月経期間が二日以内の場合を過短月経と呼ぶ。


【過多月経】

出血量が異常に多い月経を過多月経と呼ぶ。一回の月経で失う血液量はふつう20~80mⅼであり、医学的には140ml以上だと過多月経ということになる。この定義によると、月経が規則的にある女性の六人に一人程度が過多月経といわれる。しかし、正確に出血量を測定するのは安易ではない。実際には生理用ナプキンを付けていても一時間ももたず、しかもそのような状態が三時間以上続くと量が多いということになる。


過多月経の原因として多いのは、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜の異常(子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症など)、ホルモンバランスの乱れなどがある。子宮筋腫や子宮腺筋症による過多月経は八日以上だらだらと続くこともよくあり、なかには一年の半分近く出血をみることもある。まれに肝疾患や血液疾患があり、そのため血が止まりにくく出血量が増えてしまうこともある。なお子宮がん(子宮頚がん、子宮体がん)でも多量の出血があるが、この場合には、規則的にみられる月経の量が多いというよりは、月経と無関係に多量に出血をみる。また子宮がんによる出血は閉経後にも起こる。


治療の要否は、原因となる疾患や貧血の有無ということになる。過多月経による貧血は鉄欠乏性貧血である。貧血を疑うような症状は、階段を上るのに息切れがする、疲れやすい、心臓がドキドキする(動揺)といったことである。慢性的に貧血状態だと本人はその状態に慣れてしまい、なかなか貧血の症状を自覚しないこともある。


【過少月経】

出血量が異常に少ないものを過少月経と呼ぶ。過多月経の診断の診断と同様、厳密に月経量を測定して診断するものではない。一応の目安として、月経あたりの出血量が20ml未満としている。過少月経は多くの場合に過短月経となる。もっとも問題となる過少月経として、アシャーマン症候群がある。これは別名は子宮腔癒着である。人口妊娠中絶手術などで子宮内容を機械的に除去した際に、月経時に出血を起こすもとになる組織である子宮内膜組織が広範に損失することにより内腔に癒着を生じ、閉じてしまう状態である。


経口避妊薬の服用中や、排卵を伴わない月経の場合でも出血量は減少する傾向となる。また、閉経前の数年間は月経量は減少することもまれではない。


いずれにしても子供が欲しいが妊娠しにくい状態であり、しかも月経の量が少なければその原因をよく調べたほうがよい。逆に子供を希望していない女性では出血量が少ないこと自体はあまり心配することはない。ただし、無月経の状態であるにもかかわらず子宮などに悪性疾患が発生し、その症状としての異常な出血を少なめの月経とみなしてしまうことには注意が必要だ。





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