美しさのまとい方 無月経

子どもが欲しい女性は月経があるとがっかりする。逆に妊娠できない状態の女性にとっては月経がなくなると不安になる。また規則的にみられていた月経がなくなるとどこか体の調子が悪いのではないかと心配する。

このように女性はその時々の状況に応じ、さまざまな思いを月経に対して抱き、一喜一憂することがある。


【無月経】

無月経には初経が来ないもの(原発無月経)と、それまでみられていた月経が来なくなるもの(続発無月経)とがある。


無月経のメカニズムを考える際に、まず月経はなぜ起こるかということを思い出していただきたい。

月経は直接的には子宮からの周期的な出血であるが、子宮の機能はもっぱら卵巣から出る性ホルモン(エストロゲンと黄体ホルモン)によって支配されている。さらに卵巣はそれ自体が自律的に働いているわけではなく、脳にある視床下部と脳下垂体という上位の性中枢の指令を受ける。さらに複雑なことに上位の性中枢は卵巣由来のホルモンとの微妙なバランスを保って機能している。従って、子宮、卵巣、視床下部、脳下垂体のいずれの部位に異常があっても、月経はみられなくなる。


【さまざまな原因】

子宮の異常による無月経としては、先天的に子宮がない場合、子宮を摘出した場合、子宮の内腔を覆っている子宮内膜(これがはがれて血液とともに排出されるのが月経である)が広範囲に欠損した場合などがある。子宮内膜の大部分が欠損する原因としては複数回の人口妊娠中絶などの子宮内操作、あるいは子宮内の感染などが挙げられる。


卵巣が障害される場合としては、卵巣の発育が先天的に障害されている場合、閉経が43歳未満で起こってしまうもの(早発閉経)、卵巣の疾患で両側の卵巣を摘除してしまう場合などがある。


性中枢である視床下部、脳下垂体のうち、脳下垂体の異常で無月経となる原因としては、脳下垂体の腫瘍あるいはその近傍の脳腫瘍による脳下垂体の圧迫、さらには腫瘍に対する手術、その後の放射線療法により脳下垂体の機能が障害されること、などが挙げられる。


視床下部より脳下垂体の機能を調節する局所ホルモンであるGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が産生されるが、生まれつきこのホルモンが欠損していることもある。また、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌はさまざまな因子で調節されているが、心身の異常、ストレス、過度の運動などによりその分泌が障害されることもある。この結果、無月経となるものを視床下部性無月経という。


【早発閉経】

43歳未満で自然閉経を迎える場合を早発閉経という。欧米では45歳未満に閉経となるものを早発閉経と定義している国もある。

近年、晩婚化が進み、40歳前後で結婚する女性が増えている。そのため、結婚した時には卵巣の機能を喪失しているという場合も生じている。卵巣自体が機能しないといかなる治療によっても排卵は不可能であり、不妊治療の対象とならない。


早発閉経では妊娠が困難となる以外の影響もある。早期にエストロゲンが欠落するために骨がもろくなることによる骨折、性器の萎縮による性交障害、あるいは血管の老化が進みやすくなるため、動脈硬化による心臓病や脳血管障害のリスクが高まるなどである。そのため、エストロゲンを外から補う必要がある。

エストロゲンが作用することは、一般に50歳未満の女性においては健康を維持するという点で効用が短所をはるかに上回る。40歳未満で卵巣の機能を喪失すると若干、短命になるという研究結果もある。この場合にエストロゲンを適切に補充すれば卵巣機能を有する同年輩の女性と同様な健康状態を維持することができる。


【続発無月経】

これまで順調に起こっていた月経が、三ヵ月以上停止した状態を続発無月経という。当然、妊娠や閉経など、生理的に月経がなくなるものは除くことになる。三ヵ月という期間はあくまでも月経がきちんと四週間前後の周期で起こっている場合を前提としている。このような女性では三ヵ月以上無月経だと妊娠、あるいは何らかの異常があるということを意味するものである。


一方、元来月経が30~60日間ぐらいの幅で起こっている場合には三ヵ月という期間、月経がなくてもそれほどおかしいことではない。もともと月経が不規則な女性では過去一年間の月経の最長周期の二倍以上月経が来ないという時点で相談してもよい。


続発無月経の原因部位としてもっとも多いのは、視床下部であり、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)分泌の異常が関係している。高度な心身のストレス、極端な体重減少(特に体重の10%以上が短期間に減少する場合)などがみられる。


ストレスがあると、まず自分の生命を維持することを優先し、子供をつくるということは後回しにしようとするのは当然である。ストレスが原因で続発無月経となった場合は、エストロゲン分泌が高度に低下していることになり、長い間放置するわけにはいかない。

ストレスに対する感受性は各人で異なる。若年女性のほうが30~40歳代の女性よりストレスに弱い傾向がある。また、身体的なストレスより精神的なストレスの方が月経の異常を起こしやすい。一般にストレスとなりうる明らかな原因がある場合には、それが除去されると無月経が回復する確率が高い。


最近、若い女性の無月経の原因としてよくみられる極端なダイエットでは、急に月経がなくなることが多い。このような無月経では少なくとも体重をある程度戻すことが月経の回復に必須な条件となる。しかし、体重が正常化しても無月経は長期化する場合もある。安易に極端なダイエットをすることで、後に子供ができにくくなる、あるいは無月経に伴うエストロゲンの低下による全身への影響がでることもあることを指摘しておきたい。


月経の異常




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