美容の実力 ビタミンAの真実

【ビタミンA】

ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種である。体内では肝臓に貯えられており、毎日必要なビタミンA量を血液中に送り出している。ビタミンAは強力な抗酸化物質の一つとして、活性酸素の攻撃から細胞を守る働きを発揮する。それだけでなく細菌感染を防いだり、体の寒さに対する抵抗力を高めたりする。


皮膚のコンディションを正常に保つための鍵を握っているのはビタミンである。なかでもビタミンAは、皮膚が本来もっている新陳代謝の機能を回復させて、正常化する働きがある。さらに活性酸素や紫外線によって受けた皮膚ダメージ(シミ、シワ、たるみ、くすみなど)を修復して再生するといわれている。


食べ物からとったビタミンAは皮膚に到達するまでには時間がかかり、さらに届く量はとった量よりも少なくなってしまうことがわかっている。そのため着実に皮膚に届けるためには、スキンケアが効果的である。



【ビタミンAの種類とつき合い方】

ビタミンAにはいくつか種類がある。皮膚の中に存在するビタミンAは91%がパルミチン酸レチノールで、その他はレチノール、レチナール、レチノイン酸がそれぞれ3%ずつと含まれるといわれている。ただし紫外線にあたると簡単に失われる。


塗るビタミンAの働きは以下になる。

♦にきびを改善する。

♦角層の水分含有量を上昇させる。

♦毛穴の開きを改善する。

♦日焼けによりダメージを受けた皮膚を回復、再生させる。

♦表皮を厚くする。

♦ヒアルロン酸の産生を増加させる。

♦不良化したエラスチンを取り除く。

♦真皮の細胞を刺激して新たなコラーゲンの産生を促進する。

♦血流を改善して、より多くの栄養素と酸素が皮膚に供給されるようになる。



《レチノイン酸》

「最強のビタミンA」といわれており、ビタミンAの中間代謝物である。あらゆるエイジングサインの皮膚に高い効果を発揮する。化粧品には配合できず、医薬品としてのみ使用できる。美容皮膚科の分野では「クリグマントリオ」といい、日本では「トレチノイン療法」ともいわれている。

作用としては皮膚の入れ替わりのサイクルを早めることで肝斑やシミのもとになるメラニンを排出し、余分な角質の剥離を促す一方、加齢によって薄くなった表皮を厚くする。


レチノイン酸には催奇形性といって、赤ちゃんに障害を及ぼす可能性があるため、妊娠中、授乳中、妊娠を希望している人は使用を避けた方がよい。


刺激性 ★★★★★

浸透性 ★★★

安定性 ★



《レチナール》

化粧品に配合されているビタミンAの中でもっとも効果が高いといわれている。光や熱に対して不安定であるため、日本ではレチナールが配合されている化粧品はほとんどない。


刺激性 ★★

浸透性 ★★



《レチノール》

抗シワの有効成分として認められている医薬部外品である。抗シワの効果を発揮する成分として謳われているレチノールの場合は「純粋レチノール」と表記され区別されている。

効果と副作用のバランスがとれているため、多くの化粧品に配合されている。過去の日光照射による光老化に対して有効である。

皮膚を紫外線から守る働きはないので、慎重な紫外線対策が必要にある。


刺激性 ★★★

浸透性 ★★★★

安定性 ★



《パルミチン酸レチノール》

「守りのビタミンA」と呼ばれており、自然の日焼け止め剤として働く。皮膚に塗布することで、光老化の原因であるUVAを吸収してDNAがダメージを受けないように保護する。SPF20ほどの紫外線防御力があるといわれている。安定性が高く、皮膚への刺激が少ない形態であるため、毎日のスキンケアに適している。


刺激性 ★

浸透性 ★

安定性 ★★★★★





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