美容の皮膚科学 表皮

表皮は皮膚の表面から1)角層、2)透明層、3)顆粒層、4)有棘層、5)基底層の5つに区別される。それを構成する細胞のほとんどは、同じ角化細胞(ケラチノサイト)からできたものである。表皮は水分を逃さないように保持して乾燥をを防ぐとともに、外部からの異物の侵入を防ぐ働きがある。

<表皮>

基底層でつくられた角化細胞は中心に核をもっており、次につくられる新しい細胞に押し上げられるように皮膚の表面に向かって移動していく。そうして次々に形を変えて、基底層から有棘層→顆粒層→透明層→角層に変わっていく。角層の細胞になったときに角化細胞は無核のものに変わり最後角層の表面から角片として剥がれ落ちる。この新陳代謝を表皮のターンオーバーといっている。表皮のターンオーバーの時間は基底細胞の細胞周期を加えずに使われる28日が一般であるが、正しくは基底細胞の分裂周期(2~3週間)と角質細胞になるまでの時間(1~3週間)、剥がれ落ちるまでの時間(2週間)の総和で表される。ターンオーバーの時間は皮膚の状態や年齢、身体の部位などにより変動幅がある。

表皮の特色を拾い上げてみると次のようなことがいえる。

①基底層:基底層を構造する細胞は基底細胞といい、皮膚の色素、メラニンが多く含まれる。色の黒い人ほどこれは多く含まれる。

②有棘層:有棘層を構成する細胞は有棘細胞といって、この層では細胞の隙間が目立ってくる。その中をリンパ液が流れていて、表皮細胞に栄養を与えている。

③顆粒層:顆粒層を構成する細胞は顆粒細胞といい、細胞の中にケアトヒアリン顆粒(天然保湿因子の素となるプロフィラグリンと呼ばれるたんぱく質が存在している)を含んでいるのが特徴である。

④透明層:手のひら、足の裏だけにあって他の部分の皮膚にはない。

⑤角層:ここの角質細胞は無核で死んだ細胞である。底部では細胞がお互い密着しているが、表面に近づくにつれて細胞間に隙間ができて、表面から雲母状の薄片(角片)となって剥がれ落ちていく。


<皮膚吸収>

例えばクリームを皮膚表面にすりこむときは、それは角層全体にしみこんでいくが、それ以上は深く入らない。なぜ角層以下に深く入りこまないかというと、その下の顆粒層との境にバリアゾーンといわれるうすい層があって、それより深く入るのを妨げているからである。バリアゾーンはそれを通して角層の水分が有棘層に入ることも、逆に有棘層の水分が角層の方にしみこんでいくのも妨げている。そのため、角層の水分量と有棘層のそれとは違っている。後者がはるかに多い。例えば靴擦れではバリアゾーンより深いところまで表皮が剥がされている。そのためその表面には有棘層の水分がにじみでて、ジメジメしてくる。

皮膚の表面からいろいろなものが吸収されるようにするためには、このバリアゾーンを壊さなければならない。


<皮膚吸収を強める方法>

①イオンフォレーシス(イオン導入)

電気的に皮膚の表面からいろいろなものを押し込んでやる方法である。これでは普通の皮膚からは吸収されない水溶性ビタミンのようなものであっても無理に経表皮吸収(皮膚表面からいろいろなものが真皮まで入っていくこと)させることができる。

②角層をふやけさせる

皮膚の温度を上げるとともに皮膚の表面の湿度を高めて、角層をふやけさせるとバリアゾーンが壊れて皮膚全体からの吸収がよくなる。角層の水分は通常10~20%程度であるが、30%以上でたんぱく質分解酵素も働いて角層の構造が破壊されてふやけた状態になる。そのため入浴しながらあるいはスチーマーを浴びた後色々なクリームをすりこむと、それに含まれる機能性成分の吸収がよくなってくる。水溶性成分も吸収されやすくなる。

③経表皮吸収を目的とする化粧品

化粧品で経表皮吸収を目的としている成分を含んでいるものを使用する。また今日では化粧品の剤型は様々な工夫がされており、ジェルやローションにもそうしたものがあるが、やはりクリームは化粧品の中で最も経表皮吸収の目的にかなったものである。


<表皮で起こるトラブル>

露光部の表皮の基底膜(基底層真下にある薄い膜)は紫外線によるダメージを受け、それが加齢とともに蓄積して基底膜の状態は悪化する。紫外線により基底膜付近の細胞から分泌される分解酵素により基底膜の分解が起きる。基底膜は表皮細胞の状態を調節しており、これが障害されることで表皮の状態の悪化に繋がる。

また基底膜は表皮、真皮間で作用するサイトカイン(免疫システムから分泌されるたんぱく質)の拡散を調節する。そのため基底膜が障害されることで過剰なサイトカインの流入が起こり、シワの原因となる。

その他表皮が乾燥すると炎症を起こすインターロイキン1αが表皮最上層に溜まるために、少しの刺激でもさらに炎症反応を誘導する。正常な角化過程を経てできた角層細胞には核がない。しかし、炎症が起こった表皮では角化の速度が異常に早まって、核が残ったままの不全角化が起こる。このような皮膚は保湿力が低下し、くすみと毛穴が目立ち、カサつきやこわばりが起こる。また炎症は皮膚の衰えを早める原因となりシワやシミ、イボなどが発現する。

また乾燥下ではランゲルハンス細胞(有棘層に存在する細胞で、外部からの刺激や皮膚内部の状況を常に脳へ伝達し皮膚の均衡を保つセンサーの役目を担っている)が増加して、バリア機能が著しく低下して顔面では肌荒れや表皮性シワ(乾燥ジワ)、頭皮ではフケ症が発現する。

※シワとは医学的に定義すると「後天的に生じた皮膚のゆがみ、あるいは表皮から真皮の変形」と表現できる。


<スキンケア>

表皮の手当としてはまず角層をターゲットとした成分を皮膚に塗布すればよい。それにはセラミド、天然保湿因子、レチノイド(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、アミノ酸類、グリセリン、BG、PCAーNa、ハチミツ、乳酸Naなどがある。

そして角層の保湿と同時に活性酸素をターゲットとした成分を皮膚に塗布することも有用である。それにはフラボノイド、カテキン、βーカロテン、リコピン、アスタキサンチン、ユビキノン、フラレーン、白金、ビタミンB₂、ビタミンC、ビタミンEなどがある。

化粧品に配合されている機能性成分は使用する時間帯が重要である。抗酸化成分はディリーケアで使用すると期待した効果を得ることができる。セラミドはアフターケアでも十分な効果が期待できるがそれ以外の保湿剤はアフターケアでは効果は低い。

こちらは、POLA「リンクルショット メディカルセラム」

シワの原因となる好中球エラスターゼの活性を阻害する成分「ニールワン」を配合している。

紫外線や乾燥などの刺激によって皮膚内部に微小な炎症が起こる。この炎症を鎮めようと白血球の一部である好中球から好中球エラスターゼという酵素が放出される。それは炎症で傷ついた細胞を分解して新しい細胞の産生を促進する働きがある。通常であればこの反応は治癒が完了すれば活動も停止する。しかし活性酸素による酸化や生体の恒常性の平衡が損なわれると炎症反応がいき過ぎて、好中球エラスターゼの働きがおさまらず炎症で傷ついた細胞も健康な細胞や組織も区別なく害を及ぼしシワが発現する。


Botanical Muse

貴方だけの綺麗のたしなみを身につけ、美的なものを楽しむことを知っている人になりましょう。

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