美肌の科学 スキンケアの実際

【皮膚の性状を決める角層の保湿作用】

すべすべと滑らかで、柔らかい素肌の美しさは、皮膚の最表層の角層表層の保湿状態のいかんによって決められるものである。

生きた皮膚の表面は、表皮の分化の最終過程でつくられた超薄の、せいぜい1/50㎜程度の厚さであるバリア膜の角層で覆われており、水のような小さな分子すら自由には通さず、乾燥した地上でも身体が干物のような状態にならないように防いでくれる一方、その薄い表面は常に柔らかく自由な身体の動きを許す。つまり、発汗によらずに自然に皮膚から水分が失われる経表皮水分喪失はもちろん、角層の深部から浅い部分へと拡散する物質も極めて微量に抑えられ、角層内には水が保持され柔らかで滑らかな皮膚表面を作り出している。


【角層の保湿成分と保湿剤】

皮膚の表面を覆う皮脂は、それ自体が水の蒸発を防ぐこともするが、保湿剤を塗ったほどに多い量ではない。それより、主成分である中性脂肪が常在微生物由来のリパーゼによって脂肪酸とグリセリンに分解されると、グリセリンが高い水分保持機能を発揮する。

たとえば、角層が薄くて皮膚分泌もある頭の壮年性脱毛が起きた成人の額や前頭部は、保湿と皮脂でツルツル、テカテカとして、乾燥した皮膚症状すなわち乾皮症など起き得ない。


50歳を過ぎると皮脂分泌も減るだけでなく、表皮機能も低下して、化粧品研究者が天然保湿因子(NMF)と名付けた他の角層の保湿因子産生も減る。そして大気の乾燥する冬には、下半身の皮膚は乾燥し、老人性乾皮症でかゆみが起きやすくなる。

糖尿病や腎障害で血液透析治療を受けているような人では、それがよりひどく起こり得る。

肉体的には健康であっても、われわれの皮膚は、季節や生活環境に影響を受けつつ変化し、角層の性状は変化している。

昔に比べ、エアコンが行き届いた現在の住宅状況では、年間を通して多くの人にとって、きれいな皮膚を保つためには乾燥に対しての保湿ケアこそが重要であるといえる事実である。


母親の体内で、ずっと羊水に浮かんで暮らしてきた新生児は、出産とともに突然、乾燥した外気に触れるため、生後1~2週は羊水に曝されてきた角層が変化した鱗屑が、特に屈曲部の皮膚に付着し残り、新生児乾皮症が観察できる。

一方では、その体内で育ってきた母親のアンドロゲンの影響も残っているため、顔面や頭部には皮脂分泌があり、まれににきびすらも一時的にみられることがある。しかし生後1~2ヵ月してその影響が消えると、7~8割が冬に乾皮症を示す。もちろん、湿度の高い夏には、発汗も多いため、成人よりも柔らかい皮膚をしている。


一方、老人では角層剥離酵素の活性の低下により、表皮や角層のターンオーバーがゆっくりとなるため、皮膚表面からの古い角層の剥脱が遅れ、角層が厚くなる傾向にある。このような老化した角層では皮脂失乏のほか、その臨床症状に比例して可溶性アミノ酸の低下やセラミドにも低下がある。そのため、一般的には外界からの物質透過へのバリア機能の発揮に関して問題がなくとも、乾燥した冬季の環境では、皮膚の表面が乾燥しても内部からの水分補給が不十分となりやすく、ザラザラ、カサカサとした乾皮症を呈してくる。当然そこで見られる皮膚のひび割れが痒みを感じやすくする。


いずれもそれぞれの肌質にあった、あるいは塗り心地が良い保湿剤を毎日きちんと塗布することが大切である。非常に有効な保湿剤の塗布を繰り返していると、次第にその効果は持続し始める。それゆえ、非常に有効性の高い保湿剤で1日2回の塗布を1週間も続けると、それをやめても1週間近くは効果が続くため、角層療法と名付られている。

特に寒くて乾燥した冬、顔面の皮膚で有効性の高い保湿クリームを1日2回塗布してみると、角層水分含有量だけでなく、肉眼では気付かない皮膚炎のために低下していたバリア機能までも回復してくる。

つまり日々のスキンケアの大切さと、たとえ1~2日、それをしなくとも、保湿効果の高い外用剤をそれまで毎日使っていれば、さほど心配ないということでもある。


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