美しさのまとい方 過敏性腸症候群

【過敏性腸症候群】

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は、「腹部不快感または腹痛が、排便または通便の変化に伴って生じ、臨床像としては排便障害を呈する機能性消化管障害の疾患である」定義されている。

IBSは、機能性消化管障害の中で最も発生頻度が高い症候群であり、ストレスによる腸内細菌叢のかく乱と便通異常(下痢・便秘)の悪循環が発症原因の一つとして知られ、プレバイオティクスやプロバイオティクスによるIBS愁訴の改善効果が報告されている。

心身一如(精神活動と身体が密接に相関しているという概念)の代表的症状ということもいえる。


女性で下腹部痛を訴える者は多いが、10歳代から40歳代の女性の下腹部痛のうち便通障害を伴う場合には、女性ホルモンが関与する機能性または器質性の症状である可能性を確認すべきである。そして、婦人科的な問題に起因する消化器症状がIBSと類似する場合やIBSに合併する場合には、それぞれの専門医の判断が必要になる。

特に、子宮内膜症との鑑別はしばしば問題になる。また、月経周期異常や無月経の女性の中には摂食障害を起こしているケースもあり、その症状の一つとしてIBS様症状を訴えるケースにもしばしば遭遇する。


正常な月経周期をもつ女性では、月経時以外にも排卵時疼痛や月経前症候群による種々の症状が現れる。月経の一週間くらい前になると黄体ホルモンの作用などにより、腸蠕動の低下や便の水分低下が起こり便秘傾向になる。また月経前症候群としては、便通異常以外にも頭痛やむくみなどの身体症状や、気分の落ち込み、イライラなどの精神症状が起こりやすくなる。月経が始まるころには、プロスタグランジンの誘導と黄体ホルモンの低下により、便は軟らかく下痢傾向になる。

このように、健康な女性においても周期的な腹痛と排便障害が起こりうることを知ることにより、毎月現れる腹部症状の原因がわかり、安心につながることも多い。これによりIBSが改善されることもあるので、月経周期による排便の変化を自身で理解することも重要である。


【過敏性腸症候群の分類】

IBSは、主症状から次の三型に分類される。

①不安定型(下痢便秘交代型)

腹痛を伴う痙攣性便秘が一定期間続いた後、間歇性の下痢に移行する。

腹痛の他に腹部ガス貯留、腹満感を伴うこともある。


②下痢持続型(神経性下痢)

日常的に軟便もしくは下痢便が一日数行あるが、大抵の場合腹痛はなく体重減少も起こらない。食べるとすぐ便意を催すという例が多い。


③分泌型(粘液性大腸炎)

便秘に続いて激しい腹痛とそれに続いて大量の粘液を混じた下痢便を排出するもの。

精神的因子の関与が大きいとされる。


【治療】

<感情的因子>

精神的ストレスや緊張などの感情的因子で誘発されて本症をひき起こす。

♦四逆散(しぎゃくさん)・・・比較的体力のある、感情が外に発散されず内にうっ積して起こすイライラ、緊張・ストレスで悪化、神経症、心窩部のつかえ、著名な両側の胸脇苦満、強い腹直筋の緊張、四肢の冷感

♦桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)・・・比較的体力のない、強い腹直筋の緊張、腹部膨満感、腹痛、しぶり腹、腸内停滞感、常習便秘


<胃腸の機能低下因子>

元来消化器自身が虚弱なために、外からの刺激で安易に不快な症状を起こす。

♦桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)・・・強い腹直筋の緊張、腹部膨満感、腹痛、しぶり腹、腹がひきつるように痛み下痢に傾く 

♦小建中湯(しょうけんちゅうとう)・・・体質虚弱で疲労しやすい、腹痛、腹部軟弱、腹直筋の緊張、冷え、神経過敏

♦半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)・・・余分な水分が消化管内に停滞貯蓄している、食後直ちに腹鳴(ゴロゴロ)して便意を催す、強い嘔気、胸やけ、げっぷ、みぞおちのつかえ、軟便、下痢、食欲不振、飲食の不節制

♦六君子湯(りっくんしとう)・・・元気がなく胃腸に余分な水分が生じている、胃内停水音、悪心、嘔吐、動悸、みぞおちのつかえ、下痢、食後の膨満感、食欲不振、手足の冷え、疲れやすい、貧血症

♦黄連湯(おうれんとう)・・・胸中に熱があり胃中に冷えがある、口臭、嘔気、心窩部圧痛、腹部圧痛、胃部の停滞感・重圧感、食欲不振、下痢或いは便秘 

♦大建中湯(だいけんちゅうとう)・・・体質虚弱で腹中に冷えがある、痙攣性疼痛、腹部膨満感、腹壁軟弱、著しい腹痛、圧痛過敏、腸の蠕動不穏



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