美容の実力 ニキビ
ニキビ(尋常性痤瘡)は10~30歳代までの青年期の男女に多く、顔面、背部、前胸部などの脂漏部位に好発する慢性の炎症疾患である。
発症因子としては、ホルモンバランス、皮脂、角化異常、細菌感染の4つが重要である。これに加え、遺伝性因子や年齢、食事、ストレス、化粧品などの外的因子が複雑に発症に関与している。
【ニキビの発生要因】
ヒトの顔の皮膚には、皮脂を分泌する細胞の集まりである皮脂腺が多数存在し、皮脂腺から分泌された皮脂は毛穴を通って皮膚の表面に出ていく。このとき、皮脂の分泌がスムーズに行われなくなるなどして、毛穴の開口部が塞がれると皮脂が毛穴内部にとどまって膨らみとなりニキビが発生する。また、皮膚にはニキビの原因菌とされているアクネ菌が常に存在しているため、ニキビ内部で皮脂を分解して炎症を引き起こす物質を産生したり、アクネ菌自体が皮膚細胞に作用して炎症反応を引き起こすことが知られている。
【大人ニキビとは】
皮膚医学的に思春期のニキビと大人ニキビが区分されて定義づけられているわけではない。一般的には20~30代の女性に発生するニキビのことを指す。
思春期のニキビは脂性肌中心に皮脂分泌量が増える夏期に多いが、大人のニキビは脂性肌、乾燥肌といった肌タイプに関係なく年間を通してできる。大人ニキビは思春期のニキビが顔全体、あるいは額や頬などに多くみられるのに対し、あごや鼻の周りにできやすく、発生はポツンポツンと単発的なものが多い。
月経前に発生するニキビは、男性ホルモンの影響で誘発されている。背中に好発する難治性のニキビには毛包虫(ニキビダニ)が含まれている可能性がある。
【ニキビ肌の対処法】
①ニキビをふさがない
毛孔の中には数種類の常在菌がいる。その中のひとつが、ニキビの悪化と関係の深い嫌気性菌である。この菌は、空気(酸素)が届きにくくなると活発に活動する性質を持っている。そしてリパーゼという酵素を生産し、皮脂の分解をし遊離脂肪酸を発生させて周りの皮膚の炎症を起こす。
嫌気性菌対策として、ニキビパッチを貼ったりしないでおいた方がよい。ファンデーションを塗布するなら、乳化タイプで可能な限り薄くつけるようにする。
②過度に洗いすぎない
ニキビは雑菌が繁殖して炎症を引き起こすことがわかっている。しかし、1日に何度も洗顔するのは、皮膚の生理学からみてよいとはいえない。洗顔をしすぎると皮膚表面にある皮脂膜※が形成されず、外部からの微生物の侵入や水分の揮散を防ぐことができなくなる。また、洗顔料の脱脂力(脂を取り除く力)などで、皮膚が敏感になり、かえって炎症を悪化させることもある。つまり、「洗う」という行為はいちばんリスクをともなうスキンケアといえる。洗顔は1日2回までとする。
※皮脂膜・・・汗腺からの水分と皮脂線から分泌された脂分が混ざり合い形成された自然な膜
③便通を整える
胃腸の働きがよいかどうか知るのに、便通が規則正しいかどうかを考えることが大切である。排便が規則正しくあることが、健康な状態である。下痢や便秘をときどき繰り返すのもよくない。
特に直腸は水分を吸収しやすく、長く便秘していると糞便の中の水分は吸収されて、固いコチコチしたものになってくる。腸内環境と皮膚の水分量は相関しており、便秘をしていると皮膚の水分量は低下してニキビが悪化する。
④保湿をする
思春期のニキビは過剰に分泌される皮脂が原因でできやすい。洗顔しっぱなしで皮膚に十分な保湿をされていない状態だとさらに皮脂分泌が過剰になることがわかっている。皮脂腺の働きを活発にしているのは、男性ホルモンの影響が大きいのであるが、紫外線によっても皮脂分泌量は多くなる。
大人ニキビができやすい皮膚は、ターンオーバーが正常に行われてない場合が多いため皮膚が乾性に傾き角質層が硬く厚くなり、毛穴が塞がれることで発生するといわれている。乾燥や肌荒れ防止をして角質層のバリア機能の向上を目的とした保湿ケアが大切となる。
⑤高GI食品をとり過ぎない
食べた後に血糖値が急激に上昇しやすい食品は、ニキビとの関連性があることが研究でわかっている。高GI食品を食べた後に血糖値を抑えるインスリンというホルモンが分泌される。このときインスリン様成長因子(IGF-1)の分泌も促進される。インスリン様成長因子は、皮脂の分泌を促して毛穴の詰まりを招く。これによりニキビが生じやすくなる。
一般的に高GI食品はGI値が70以上のものをさす。スイーツなどの糖質を多く含むものや白米、食パンなどの精製された炭水化物がある。
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