美容の皮膚科学

美しい皮膚を保つために必要な皮膚の知識とスキンケア法をこれから何度かに分けて投稿していきます。皮膚の表面から順番の解説していく予定です。


皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織の3つに区分されている。それに加えて皮膚には毛、爪、脂腺、汗腺などの特別の構造と働きをもったものがある。それらは皮膚付属器と一括して呼ばれている。いずれも表皮が形を変えたものである。そのためこれらのものはどこかで表皮と連絡している。

例えば乾燥によるトラブルに悩まされているのであれば、皮膚付属器の手当てをしなくてはならないし、たるみに悩まされているのであれば、真皮の手当てをしなくては悩みは解消しない。その手当ても体の内側からと外側から皮膚を支えることが必要となる。その正しい考え方には医学的知識が必要で応用しなければならない。

~皮膚に潤いと滑らかさを与える汗と皮脂について~

<皮脂膜>

皮膚の表面には絶えず皮脂と汗が分泌されている。皮脂は脂腺から分泌され、頭、顔、胸背、四肢に多く、気温が高くなると分泌量は増加し低くなると減少する。ただし体温、気圧による影響はほとんどない。汗は汗腺から分泌されエクリン腺とアポクリン腺の2種類がある。エクリン腺は全身の皮膚に一様に分布されている。いわゆる「汗をかく」といわれるときの汗は、こちらから出る汗のことである。アポクリン腺は腋窩、乳首、臍窩、外陰部、外耳道から分泌される汗で極めて少量で、白く濁っている。それはエクリン腺からの汗に比べてタンパク質が多いためで、また一種独特の臭いをもっている。分泌量は男女に差がないが、人種的にかなりひらきがある。

この皮脂(油)と汗(水)は皮膚の表面でうまく一様に混じって(乳化)、薄い膜をつくっている。これを皮脂膜という。皮膚に潤いと滑らかさがあることは美しい皮膚の1つの条件である。皮膚にそれを与えるのは、皮膚の表面にある皮脂膜である。


<皮脂膜の働き>

①皮膚の保湿作用

皮脂膜は皮膚の表面を覆っていて、皮膚に潤いを与えている。また、皮脂膜は角層から剥がれようとする角層細胞をひっつけて剥がれ難くし、皮膚表面に滑らかさを保たせる。皮脂膜が少ないと表面がカサカサして白い粉がふいてくる。これは余分な角片が剥がれるためである。

②皮膚の保護作用

皮脂膜は油の膜であるため、油に溶けない化学物質をはね返して、その害から皮膚を守っている。したがって油分の少ない乾性の皮膚は外部からの刺激を受けやすく、カブレや湿疹が起きやすい。また皮脂膜は弱酸性である。そのため皮膚表面の細菌の発育を抑えるし、皮膚表面にアルカリ性のものがきたとき、それを中和して(アルカリ中和能)アルカリの害から皮膚を守る働きもある。石鹸は水に溶けてアルカリ性になるがこれで皮膚が荒れることがないのは皮膚表面にアルカリ中和能があるためである。石鹸によって害が起こるのは石鹸を使った後、石鹸分を皮膚の表面に残しておくための害である。


<皮脂膜の汚れ>

皮脂膜は油の膜であるため外の汚れを吸いとりやすく、落ちにくい。そのために皮脂膜の性質も変わってくる。皮脂の成分であるスクアレンは最初に酸化されて過酸化脂質ができ、肌荒れを起こすばかりではなく、真皮にまで影響を及ぼす。これは皮膚の衰えを早めるということである。またほこりの中には油を吸収するものも含まれている。そのために皮膚の表面が乾いて荒れてくる。皮脂膜の働きを真似てつくられたクリームをつけた顔の表面にもそれと同じことは起こる。皮膚表面の汚れた皮脂は水やお湯では洗い落とせない。それをとるためには皮脂を角層の表面から浮かす力がある石鹸などの洗顔料で洗顔する必要がある。


<スキンケア>

皮脂膜の材料となる皮脂分泌が少ない肌を乾性の皮膚といっている。皮膚の油分が足りないので表面がカサカサしてざらついて肌理が粗くなる。また外からの刺激を受けやすく冷たい風にあたったり、ウールの下着を着ると痒みが出てくる。


脂腺の活動は20歳~50歳のまでの間、一定で変動することはない。この間で皮脂分泌の低下がみられる場合は筋力の衰えが考えられる。運動をして筋力をつけると皮脂分泌量が高まり皮膚は潤い滑らかになる。50歳以降次第に脂腺の機能が衰えて皮脂膜が減少する。こうした皮膚には皮脂膜の組成に近い乳化したクリームを塗布して、皮脂膜の働きを補うとよい。または皮脂成分中に5.5~6%含まれるスクアレンに水素を添加して飽和させたスクアランを塗布するとよい。これはスクアレンと違って安定で、光や空気に触れても酸化しにくい。しかも生物学的作用はスクアレンと同じであり、皮膚を滑らかにする働きがある。また皮膚に刺激作用がない。このため広く化粧品に使われている。これらを皮膚に塗布するとき、同時にマッサージをするとよい。血液循環がよくなり皮膚温度が高まると脂腺機能も高まるからである。


皮脂成分となる食物には糖と脂肪がある。糖(アルコールも含む)を摂取すると体内で脂肪に転換し皮脂分泌量は増える。ただそれを過量に摂ると肥満体になりやすく、皮膚の水分量が増加してたるみが起きる。脂肪も皮脂分泌量が増えるが、同時に皮脂の質的変化も起こる。これは食物から摂る脂肪のため、本来皮脂がもっている殺菌あるいは静菌力に変化が起こってきたり、皮脂が流れにくくなったりする。それよりも健康な皮脂膜をつくるには、運動と化粧品で手当てをする方が早く効果をあげることができる。

こちらは今使っている洗顔料です。

左からミノン #アミノモイスト クリアウォッシュパウダー、ミノン #薬用スキンソープ

見た目が透明な石鹸は保湿力が高く皮膚に負担が少ないマイルドな洗浄力で、これに対して見た目が不透明な石鹸は保湿成分が少なく、石鹸成分が多いため洗浄力は強めである。











Botanical Muse

貴方だけの綺麗のたしなみを身につけ、美的なものを楽しむことを知っている人になりましょう。

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