トップを知る女


美ボディに向けての私の苦行は続いている。「歩く生活」に加えトレーニングにも精を出す。その甲斐あって、体重は下降線をたどり始めた。といっても今の私の状態は大デブから小デブになったぐらいだ。


さて話は変わるが、私の友人にモテ女がいる。男の人の見識、美意識がくっきりわかる基準となるルックスをしておりコンサバの服がよく似合う。彼女が一時期血迷ってモード系の服を着ているのを発見した私は叱責したほどだ。そしておっとりとしたお嬢さんの雰囲気をもっている。美人で妖艶のため男の人がほっとかない。世の中にこの程度の人はいっぱいいるだろうけど彼女は特別。なぜならこれに魔性が加わるからである。美人で魔性でモテる。どうやらこの頃の神様というものは一人に二物も三物も与えるらしい。そのモテっぷりはいち"モテ女″というスケールでは収まりつかない。彼女のモテ方というのは昔から尋常ではなく、私はいくつかの現場を見てきた。


彼女とレストランへ行ったときの話である。入店するなり店内に居合わせた男たちがいっせいに彼女をじっと見つめる。彼女は色々な方向から飛んでくる視線をしっかりと受け止め全身から放射状に色気を飛ばす。そのシャワーを浴びた男たちは黙り込み食事をしていた手を止める。そしてどうにかして彼女とお近づきになれないものかと奮闘する。

私が行けばただのレストラン。けれども美女には違うことがある。そこには私の知らない異空間が広がっているのだ。


彼女は聞き上手である。微笑みながら聞く美女。そう、聞き役に徹する美女ってなんてエレガントなんだろう。私も見惚れるほどである。そして時折り首を傾げて顔を近づける。が、ここで終わらない。彼女は人を思いっきりノセて、いい気分にしてくれる名人なのである。

妖艶で美しく、自分を照らしてくれる彼女を前にして、この誘惑にうち勝てる男性がいるであろうか。たいていの男性は狂喜する。

なるほどね、と思い、私はさっそく自分のお教室でこれを真似て微笑みながら首を傾げる。コワそうに私を見つめる生徒さんたち。まるで昭和のアイドルみたいだそうだ。が、私がモテ女になるためには協力してもらわなくてはならないだろう。


その日は色々な技が見られた。実際男の人の転がし方なんて見ていてホレボレする。

「男の人の無邪気さもすごかったけど、〇〇ちゃんの技はもっとすごかったわ」とその成果に私は驚嘆の声をあげた。

するとノーギャラでやり切った彼女は言った。「あの程度ではダメよ」

私はこの一言ですべてを理解した。彼女はトップを知る女なのである。彼女の周りには一流の男性しかいない。平地の男性にはあの程度でいいのであろうが、一流の男性には全く通用しないということだ。


この後続きあります。

Botanical Muse

貴方だけの綺麗のたしなみを身につけ、美的なものを楽しむことを知っている人になりましょう。

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