美しさのまとい方 エストロゲンと病原菌

エストロゲンは病原菌を追いやる

【外部の有害因子から守るエストロゲン】

気道、消化管、生殖器んどの内面は粘膜という組織で覆われていて、粘膜がある部位は解剖学的に外部と直接つながっている。そのため、自己以外の異物、すなわち、殺菌やウィルスなどの病原菌などの侵入門戸でもある。これらの部位では、どこかの粘膜で異物が侵入すると、全身の免疫ネットワークが作動し、全身の粘膜で異物の侵入を防げるような監視体制が迅速にとられる。

腔粘膜には、さらに特殊な防御機構があり、そのシステムが稼働するためには、エストロゲンや黄体ホルモンが必要である。精子が侵入する時期は排卵時である。排卵時まではエストロゲンが分泌され、排卵以降は、さらに黄体ホルモンがエストロゲンとともに分泌される。

排卵に引き続いて妊娠に至ると、高濃度で存在するエストロゲンと黄体ホルモンは協調して

母体の感染防御に重要な役割を演じている。我々の身体は病原菌が侵入すると、直ちにそれを攻撃しようとするしくみが備わっている。これを自己免疫という。


*細菌感染

エストロゲンは、生殖器と無関係な感染症にも影響を与えている。例えば、閉経後の女性は膀胱炎などの尿路感染にかかりやすくなる。エストロゲンの欠乏が尿路感染のリスクを高め、エストロゲンを補充するとリスクは軽減する。

さまざまな研究の結果、女性は結核、肺炎、敗血症(血液中で細菌が増殖している状態)などの重症感染症の罹患率が男性より低いこと示されている。男女差が最も顕著にみられるのは20~30代であり、つまり、エストロゲン分泌が良好な時期に、女性の敗血症の罹患率が低く、しかも重症化しにくい。

*外傷

重症の外傷の経過にも性差がある。特に、閉経前の女性の経過は男性よりも良好である。生殖年齢にある女性は、種の維持という特有の役割があり、それゆえ、生命を脅かすような侵襲から守られているのかもしれない。そして、その背景にはエストロゲンの影響があると考えられる。


【免疫関連疾患へのエストロゲンの反応】

一般に、エストトゲンは免疫系を活性化させ、逆に、男性ホルモンや黄体ホルモンは抑制的に作用するといわれている。免疫系を賦活するということは、病原菌から身を守ることになり、エストロゲンの良い作用といえる。しかし、ときに過剰な免疫反応は自己の組織に対して牙はむくことがある。このことは、免疫系の異常が関係している自己免疫疾患が女性に多いことと関係している。

代表的な自己免疫疾患にひとつに関節リウマチがある。全身の関節の痛み、腫れ、こわばりなどが主な症状である。関節リウマチの罹患率は、女性の方が男性より5倍程度高い。女性では30~40での発症が多いが、閉経後に発症することもある。比較的若くして閉経を迎えた女性は、関節リウマチが発症しやすい。45歳以下の早発閉経は、46歳以降に閉経を経験した女性と比較すると、関節リウマチのリスクが約2倍高まるといわれている。逆に、初経年齢が12歳未満の女性は、それ以降に初経を迎えた女性と比較して、関節リウマチのリスクは低くなる。これらの事実から、卵巣が正常に働いている時期が長いほど、関節リウマチに罹りにくいというになる。

これまで述べてきた自己免疫疾患以外にも免疫系が関連すると考えられているさまざまな疾患、例えば気管支喘息、ベーチェット病、アトピー性皮膚炎などもエストロゲン分泌の変動が関連しているようだ。それらの病気は、エストロゲンが低下する月経期に増悪する傾向がある。

エストロゲンによる免疫系の活性化が度を過ぎると、不利に働くことが感染症でもみられる。例えば、インフルエンザAウイルスに罹ると、女性、特に若い女性や妊婦は男性と比べ

重症化しやすいといわれている。この原因として、ウイルスが侵入すると、それを排除するための複雑な免疫機構が働く。エストロゲンは一般に免疫系を賦活する作用があるため、インフルエンザに感染すると、女性は男性に比べて免疫反応が増強している。免疫反応とは本来はウイルスを排除する意義があるが、過剰な免疫反応は、逆にその個体にとって有害となることがある。

このことから、女性は男性と比べインフルエンザウイルスを排除する仕組みが劣っているのではなく、過剰な免疫反応により、重症化する傾向があると推量される。

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